「正義」とは何か? 〜やなせたかし名言集・アンパンマンの「正義」から考える〜


いつの日か『「アンパンマン」から考える「正義」とは?』


という記事を書こうと思っていたのだが、先にこんな日が来てしまった。


やなせたかしさん>アンパンマンの生みの親、94歳で死去


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131015-00000008-mantan-ent


(2013年10月15日(火)15時0分配信 YAHOOニュースより引用開始)


アンパンマン」などで知られるマンガ家、絵本作家のやなせたかし(本名:柳瀬嵩)さんが
13日午前3時8分、心不全のため都内の病院で死去した。94歳。
遺志により、葬儀は近親者のみで行っており、後日しのぶ会を予定している。


やなせさんは1919年東京都生まれ。高知県で少年時代を過ごし、
東京高等工芸学校卒業後、高知新聞社三越宣伝部を経て、53年フリーに。
マンガやラジオコント、テレビ番組の脚本、映画雑誌の批評などさまざまな分野の仕事を手掛ける。
61年には童謡「手のひらを太陽に」の作詞を手掛け(42歳)、
73年には月刊絵本「キンダーブック」に「あんぱんまん」が初登場(53歳)。
88年にはテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」の放送が始まり(66歳)、
89年には劇場版アニメ第1作「それいけ!アンパンマン キラキラ星の涙」が公開され、
その後毎年新作が公開されている。
.

また、2000年に日本漫画家協会の理事長に就任、12年からは会長を務めたほか、
11年の東日本大震災後は復興支援活動にも尽力した。
今年は画業60年、絵本「あんぱんまん」出版から40年、
テレビアニメ、劇場版公開から25年にあたり、
11月には「やなせたかし大全」がフレーベル館から発行される予定。(毎日新聞デジタル)


 ◇「大切な道しるべ喪(うしな)った」 アンパンマンの声を務める戸田恵子さん


やなせ先生こそがアンパンマンそのものでした。
いつでも優しさで私たちを包んでくださり、分けあうことを教えてくださった。
ただひたすらありがとうございましたと感謝を申しあげるしかないのですが、
今は決して無くしてはいけない大切な道しるべを喪った感覚です。
悲しすぎて全く力が入りません。合掌。

(引用ここまで)


『「アンパンマン」から考える「正義」とは?』なんて記事をいつの日にか書こうと


思ったきっかけは、もう12年前になるが、次の文章を読んだ時のことだった。


アメリカでの9・11のテロが起こった直後に書かれた文章だ。


『テロとアメリカ 〜人類の不平等 想像力欠く、ゲリラ戦の教訓 学ぶ必要〜』

 
2001年10月17日 哲学者 鶴見 俊輔氏


http://www.jca.apc.org/beheiren/164Tsurumi%20Interview.htm


(一部引用開始)


 ――アフガニスタンヘの攻撃を米国は「正義の戦い」と言っています。


 「どんなことがあってもテロは許しがたい。
  しかし、米政府のトップには、なぜこんなにもテロが起こるのか考えるゆとりがなかった。
  イスラムの側から米国はどう見えているのか、ということを考えないで、いろんな手を打つのはどうだろう。
  世界を支配できる権力をもった人間が、想像力を欠いている」


――「新しい戦争」とも言っています。


 「新しいというのは、国対国の戦争ではないですからね。
  このような戦争に対処するには国境を越える秩序をつくらなくてはならない。
  それは強国だけでなく、イスラムラテンアメリカを含めないとできない」


 「米国はいろいろな国の人が集まって一緒にいる国でしょう。
  それなのに『善と悪の戦い』と大統領が言ったら、どうにもならない。
  米国内にいる700万人のイスラム教徒はどうなるのか」


 善と悪の定義

 ――「善」と「悪」の定義は。


 「やなせたかしの『アンパンマン』では、悪の定義がはっきりしているんだ。
  クリスマスのプレゼントを独り占めしてしまうのが悪いやつ。
  米国は地球温暖化防止のための京都議定書に加わらない姿勢を見せているけど、
  『アンパンマン』の哲学からすると、おかしい。
  『最も豊かな国が最も貧しい国を攻撃している』ということも、分からなくなっている」


 ――ベトナム戦争と同じですね。


 「米国はべトナム戦争をよく分かつていないんだ。
  第1次大戦の後、カミングズの『巨大な部屋』やヘミングウェーの『武器よさらぱ』といった
  偉大な戦争文学が生まれた。しかし、第2次大戦やベトナム戦争の後は優れた戦争文学が生まれていない。
  米国は殺される人間からどう見られているか、とらえることができない。
  自分を映す鏡を壊してしまい、自分の位置を見つけられなくなったんだ」


(以下、略。引用ここまで)


ひとつ、言えるのは、『「正義」は常にきな臭い』『「正義」を叫ぶやつこそ、疑え』。


これが、一番真実に近いところにある「正義」に関する言葉だと思ってはいるが、


結果論としては『勝ったものが「正義」になる(=勝てば官軍)』が真実に近い気がする。


それが、一番生々しく現われるのが「歴史(の教科書)」であり、勝った者(勝利者)が、


自分に正当性(正義)があったと、なんやかんや理屈をつけて、後世に伝えるのが「歴史」である。


だから「歴史」の裏には、常に、敗れた者(敗者)の側が唱えていた、その時代としては、


本当は正当性(正義)があった「行動原理」や「理想」のようなものが常に必ず隠されている。


しかし、その敗者の正義(正当性)を徹底的に隠ぺいするために


「(勝者の)歴史」=「正(しい歴)史」というものが編まれてきたのだ。


また、『「正義」を自称する者が「戦争」を始める』という、


人間が何千年、何万年、生きてきても、学習できず、変えられない、残酷な法則もきっとある。


だからこそ、『「正義」は常にきな臭い』『「正義」を叫ぶやつこそ、疑え』


というのが、「正義」という言葉を耳にしたときに一番適切な反応だと感じる。


では、やなせたかし氏が考える「正義」とは何だったのだろうか?


時間がないので、ネット検索してみたら、便利なページが!


やなせたかし先生が「アンパンマン」に込めた哲学がすごすぎる!』


http://matome.naver.jp/odai/2131475673692300601


(「アンパンマンの遺書」より引用開始)


・「正義」のための戦いなんてどこにもないのだ。


 「正義」は或る日突然逆転する。「正義」は信じがたい。


・逆転しない「正義」とは「献身」と「愛」だ。


 それも決して大げさなことではなく、


 眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば、その人に一片のパンを与えること。


(「アンパンマンの遺書」より引用ここまで)


※でも、実は「愛」は逆転するし、「愛」が逆転すると「憎しみ」になる…から怖いんだけどなぁ…。
 まあ、やなせさんがここで使っている「愛」は「(無償の、ひきかえを求めない)愛」の方であって
 「(男女間の)愛」ではない、から成立してるとは思うけど…。
 ここで「愛」とは何か?って言い出したら堂々巡りになるし、割愛。


(「心に響く世界最弱のヒーロー アンパンマンの正義 〜やなせたかしさんに聞く」より引用開始)


・自分はまったく傷つかないままで、「正義」を行うことは非常に難しい。


・正しいことをする場合、必ず報いられるかというと、

 
 そんなことはなくて、逆に傷ついてしまうこともあるんです。


(「心に響く世界最弱のヒーロー アンパンマンの正義 〜やなせたかしさんに聞く」より引用ここまで)


※うん、「正しいことを真面目にやろうとする子どもは学校でいじめられる」法則もあるからな〜。
 さもあらん。げに、この世は、生きづらい(笑)


(NEWSポストセブン「やなせたかし氏 日本人の正義とは困った人にパン差し出すこと」より引用開始)


・困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、


 立場が変わっても国が違っても「正しいこと」には変わりません。


 絶対的な「正義」なのです。


(NEWSポストセブン「やなせたかし氏 日本人の正義とは困った人にパン差し出すこと」より引用ここまで)


※だから、アンパンマンは困っている人、飢えている人に食べ物を差し出すヒーローなのですね、先生。


■そんな「やなせさん」にとって「生きる」とは…?


(【被災地の皆さんへ】漫画家・やなせたかしさん 弱い心をやっつけて - MSN産経ニュースより引用開始)


・生きていることが大切なんです。


 今日まで生きてこられたなら、少しくらいつらくても明日もまた生きられる。


 そうやっているうちに次が開けてくるのです。今回の震災も永遠に続くことはありません。


アンパンマンは“世界最弱”のヒーロー。


 ちょっと汚れたり、雨にぬれただけでも、ジャムおじさんに助けを求める。


 でも、いざというときには、自分の顔をちぎって食べてもらう。そして戦います。


 それは私たちも同じ。みんな弱いけれど、そうせずにはいられないときもあるのです。


(【被災地の皆さんへ】漫画家・やなせたかしさん 弱い心をやっつけて - MSN産経ニュースより引用ここまで)


やなせたかし 「やなせたかしの世界」より引用開始)


アンパンマンのテーマソングは「なんのために生まれて、なんのために生きるのか」というのですが、


 実はぼくはずいぶん長い間、自分がなんのために生まれたのかよくわからなくて、闇夜の迷路をさまよっていました


やなせたかし 「やなせたかしの世界」より引用ここまで)


やなせたかしさん: yumi yoriな話 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)より引用開始)


・もっと若い時に世に出たかった。


 ただし遅く出てきた人というのは、いきなりはダメにならない。


 こんなことしてていいのかと思っていたことが、今みんな役に立ってる。


 無駄なことは一つもないですね。


やなせたかしさん: yumi yoriな話 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)より引用ここまで)


やなせたかしアンパンマンの遺書」より引用開始)


・ぼくら夫婦には子供がなかった。


 妻は病床にアンパンマンのタオルを積みあげて、看護婦さんや見舞い客に配っていた。


 アンパンマンがぼくらの子供だ。


やなせたかしアンパンマンの遺書」より引用ここまで)


※これは、かなりいい話。泣ける。一周して、僕のコード(琴線)に触れるなぁ。


やなせたかし「人生なんて夢だけど」より引用開始)


・人生の楽しみの中で最高のものは、やはり人を喜ばせることでしょう


やなせたかし「人生なんて夢だけど」より引用ここまで)


結論:やっぱり、「やなせたかし」はすばらしい人だった。


惜しい人を亡くしました。が、これを読んで何か「感じる」人がいる限り、


やなせたかし」さんの魂は生き続けることでしょう。合掌。


今日はここまで。