(今回の連続)映画「ワールド・トレード・センター」を観た。(ネタバレあり)


2001年9月11日、人類が21世紀を歩みだしたその年に悲劇が起こった。
言うまでもなく、アメリカのニューヨークにそびえたつ世界貿易センタービル(通称WTC)に
航空機が激突し、数時間後にビルそのものが崩れ落ちるという大惨事が発生した。


たまたま友達の女性に急に呼び出された結果、この映画を観ることになったのだが、
ワールド・トレード・センター スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]」という映画そのものは、正直たいしたことはなかった。


要するに、911の事件があったその日に、WTCに残された人々を助けるために
自らの危険を顧みず、救出作業に向かった勇敢な警官たちが逆に生き埋めとなってしまい
それが救出されるまでの家族や本人たちの苦悩を描いた作品である。


映画を観ているときは、それなりに残された家族たちに感情移入して
警官たちが救出されたときには、良かったと思わなくはなかったのだが、
なにぶん、題材が題材だけに大した作品とはとても思えなかった。
端的に言えば、駄作であった。


駄作になるのも無理はない。
何故なら、あの911の事件をその外側から(つまり関係者ではない立場で)
リアルタイムで知っている者にとっては、不謹慎かもしれないが、
あの911事件そのものが、まるでとんでもない映画を見せつけられているような
感覚を植えつけられていたと感じるからだ。


あの時、私は家で当時の彼女と一緒に映画「MI2(ミッション・インポッシブル2)」
を鑑賞していた。現代のハリウッドの最新技術を駆使した派手なアクション映画だった。
映画を観終わってから、チャンネルをテレビに戻したときに飛び込んできたのが、
飛行機が激突し、炎上しているワールド・トレード・センターの映像だった。


あれ間違えてDVDの続きを見ちゃってるのかな?と本気で思ったが、
それは現実に世の中で起きている出来事だった。


当時の私は、アメリ政治学を専攻していた大学3年生であった。
私が本当に勉強したかったのは日本政治だったが、日本の派閥のシステムなどに興味はなく、
当時の私の持論は、アメリカ政治を知れば日本の政治の流れていく方向がわかるというものだった。


911の真相など、私のようなものには知る由もないが、
20世紀のパックス・アメリカーナという時代の終焉の象徴として
当時の私は911を漠然と捉えていたように思う。


その時、ちょうどタイムリーな企画を大学でやっていたため
今でもやっている某テレビ番組に取材されてドキドキしながらも
堂々と自分の意見を述べたことを覚えている。


番組のメインの司会者は我々の発言を聞いて、
近頃の大学生は意外としっかりしていて頼もしいね、
なんて言ってた気がする。


まあ、そんなことはどうでもいいのだが、そんな流れの中、
私は個人的な卒業旅行として、4年生になって卒業間近の
2003年の2月末にイラク戦争が今にも始まると言われていた、
アメリカ合衆国への一人旅を敢行した。
もちろんWTCの跡地にも足を向けた。


どんなに机上で勉強をしても、肌で感じなければわからないものがある。
それは今でも変わらない私の持論である。


その結果、私が感じた21世紀初頭のアメリカは、
“肥満と欺瞞の国”というのがふさわしかった。