あまり知られていない「自衛隊が合憲だ」とする現行憲法9条の理屈
まず、最初にはっきりさせておきたいのは、これからする説明は、
「高学歴人間にありがちな単なる屁理屈だ」と個人的には感じるが、
それでも、現行憲法のままで改正しなくていいと思うし、
すなわち自衛隊も合憲なのだから、存続しつづけていただいて、
大いに国を守るために頑張っていただきたいと思っている。というのが私の立場である。
まあ、もう今時そんな人いないと思うが、
「憲法で戦争放棄をうたってるんだから、自衛隊は廃止すべきだ」
「自衛隊を廃止して永世中立国として“東洋のスイス”を目指すべし」という方がいたら、
「永世中立国としての立場を維持するために、スイスは重武装国家である」
という現実から目をそむけてはいけないと思います。現実を直視しないと…。
「平和」を実現するには、「軍隊」が必要不可欠。
残念であろうとなかろうと、これが「世界の常識」であり「現実」ですよね。
さて本題の日本国憲法の第9条を見てみましょう。
日本国憲法 第九条
(第一項)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(第二項)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
2013年現在の日本政府の公式見解としては、
「日本の自衛隊は、第二項の『戦力』に値するような力はない。
「戦力」は保持しないけど“『戦力』に至らない程度の実力”なら保持してもいい。だから合憲だ。」
と言ってるんですが、さすがにこれは苦しい。と個人的には思います。
で、政府の公式見解ではないですが、多くの憲法学者などが苦々しい気持ちを抱きながら
しぶしぶ現状を受け入れているのが、「限定放棄説」という解釈です。
かつて民主党政権だった2012年の頃、無知なまま防衛大臣になった田中氏に
自民党の石破氏が国会の質疑でそれとなく示唆した考え方(解釈)でもあります。
肝になるのは、(第二項)の最初の文言「前項の目的を達成するため」という部分です。
日本国憲法は、マッカーサー率いるGHQ(SCAP)が起案した“押しつけ憲法”ではありますが、
この「前項の目的を達するため」という部分だけは、押し付けられたのではなく、
日本人が(GHQにバレないように)ねじこんだものです。(笑)
ねじこんだのは誰か?芦田均という東大法学部出身で官僚経験者の元首相です。
あっぱれ!というべきでしょうか?たぶんこの件に関してはいうべきでしょう。
たぶんこの「前項の目的を達するため」という部分がなかったら、
吉田茂もアメリカからの軍備の増強要求をのらりくらりとかわし続けることは出来なくて、
あの「ALWAYS 三丁目の夕日」のような懐かしみたくなる古き良き高度成長も達成できず、
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また脱線しました。汗) 本題に戻します。
なぜ平和憲法をかかげているのに自衛隊は合憲なのか?どういうことか?というと、
「第二項をご覧ください。『前項の目的を達するため』と書いてありますよね。
これ、どういうことかと説明しますと、第一項で書かれている『国際紛争を解決する』という目的を達成するための戦力、
つまり、侵略戦争のための戦力は放棄したけど、自衛戦争のための戦力を放棄するなんて一言も憲法では言ってないんですよ。
あえて第二項に『前項の目的を達するため』という文言が書かれているのがその証拠です。」という理屈です。
まあ、屁理屈っちゃ屁理屈ですよね。でも、この屁理屈が戦後の日本を守ってきて、経済成長にも寄与してきたのは、
まぎれもない事実です。ちなみにこの「前項の目的を達するため」というのをねじ込んだことを俗に「芦田修正」と呼びます。
憲法改正論者は言うでしょう。「自衛隊があるという現状に憲法は即してない。」
「今こそ、現状に見合った状態に憲法を改正するべきだ」と。
でも、そんなことする必要ある?って思いませんか?
憲法9条が仮に今のままでも、生活は困りませんよね?
もしかしたら、生活に悪影響が出るかもしれませんよ。