ゴールデンスランバーを読んで


ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー


伊坂幸太郎が書いた第5回本屋大賞受賞作ということで読んでみました。


とてつもなく面白いです。一気読みしてしまったせいで寝不足になりました。
完全に好みの問題ですが、やっぱりこの人の伏線の張り方が好きなのかも。


タイトル「ゴールデンスランバー」は、ビートルズの曲名から。
このあたりが村上春樹チルドレンといわれる所以のひとつでしょうか。


テーマは、帯によると、


(以下『ゴールデンスランバー』帯より抜粋して引用)


「首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、
 巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?」


『伊坂的娯楽小説突抜頂点』


本書は、「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」という発想から
生まれた、直球勝負のエンターテイメント作品。


「精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界−、
 伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成」


(引用ここまで)


となっており、まさに極上のエンターテイメント作品といって過言ではない。
単純に読んでいて、面白いし、続きが気になるし、感動できる。


だが、この作品を単なるエンターテイメント作品とするのは、
個人的にはもったいないなと思ってしまう。


伊坂幸太郎本人が、あとがき(謝辞)の中で、


(『ゴールデンスランバー』P503より引用開始)


当然ながら、この物語はあくまでも作り話ですので、参考にした本や取材した内容に、
僕(伊坂幸太郎)がたくさんの嘘を混ぜ合わせて、取り込んでいます。
物語の都合上、現実とはかけ離れた部分も多いので、
読んだ方が真に受けないで下さればいいな、と思っています。


(引用ここまで)


と述べているので、著者の意思に反するのを十分承知で言うとすれば、
この作品は充分、この現代社会に警鐘を鳴らす社会派作品であるという
側面も併せ持っていると個人的には思うのである。